カミヨモジとカナモジとの差異

カナとは、遠き神代の昔から上代にかけて作られた、わが国固有の文字のことである。

このカナ(仮名)を外国渡来の漢字、皇国風(ミクニフリ)に表わせば「日本文字(ヤマトモジ)」と呼ぶ。しかし、今日わが国で使われているカナモジは現在使用の片仮名をヨコガキに適するよう、ローマ字に対応して作られたもので、和字ではあるけれど、古代和字ではない。


カナと漢字について


今日、カナ(表音文字)に対する常識的解釈は、漢字を簡略化したもので、カナには万葉仮名・片仮名・平仮名の三種があり、そのうち万葉仮名は、表意文字である漢字中から一音に限定される文字を選び出し、仮名として使用する特定の四十七字を指す。

次に片仮名は、吉備真備が漢字の偏・冠・旁等を採って作ったものと考えられている。

又、平仮名は、僧・空海が漢字の草書体を崩して作ったものと考えられている。

しかし、真言密教に神道の行法を採り入れた空海は、古代和字を学び、アヒルカナ(草書体)を源に平仮名を作り、純然たる空海の創作ではない。

神代文字(カミヨモジ)という言葉は、漢字に対して用いられたもので、漢(カラ)モジに対して神代(カミヨ)モジというように、文字という言葉を使ったのである。

カナは漢字が渡来する以前からわが国には存在し、その時はモジといわずカナと称した。

古代和字は表音文字ですから、カリナすなわちカナという。

その語学上の証拠としては、カナに古字(フルキナ)と新字(ニヒナ)という両語があり、異国字に対し、和字(クニナ)という言葉がある。この古字(フルキナ)・新字(ニヒナ)・和字(クニナ)という名称は、どこまでもカナ(仮名)のナという意味を表わす言葉であって、フルモジ・ニヒモジ・クニモジと呼ばれなかった。

それゆえ漢字渡来以前にモジ、すなわちナ(名=字)があったことを裏付けている。