カナとモジの意義

○ カナの意義

わが国の古代文字を、神字(カナ)と呼んだ。

カナはカミヨのナの約言であり、神代又は上代(カミヨ)に作られた文字のこと。

カナはカミナの約語であり、神の名という意味である。

太古は神を讃え、神の御名を表わすため、先ずモジが作られた。

そして後に言葉を表わす字(ナ)として、使われる様になったのである。

又、漢字(カンナ)が漢名(カナ)となり、後に仮名(カナ)と書くようになった。

目に見えないコトバ(言語)を目に見える仮りの形に表したものが、ナ(符牒の意)であって、漢字が渡来したため、これに名または文字という漢字に当てたのである。

それゆえ、漢字中一音に限定して使う万葉仮名も、仮名の一種である。

けれどもこれは、外来文字を借用した表音文字としてのカナであるので、仮名といっても、古代和字ではない。


○ モジの意義

わが国では漢字渡来以前、文字のことをナ、またはカナといっていた。しかし、漢語・漢字が渡来してから漢字をカラモンジと呼び、後にカラモジ、あるいはカラジと略称されるようになった。この漢字や梵字に対応して、わが国固有のカナを中世の人達は和字(クニナ)と呼び、純日本文字で古いものを古字(フルナ)、新しいものを新字(ニイナ)と称し、近世以降神代文字、または日本古字といっている。

ナまたはカナは単音・単語を表わす文字を意味し、モヂリとは文章に書き綴られた文字をいう。ヒフミとは、古代和字で綴られた文章を指す。

ヒフミ四十七音字はナを連ねたフミであり、アイウエオ五十連音字もフミなのである。

元来、モヂリとは真似て作るという意味があるが、ここでは目に見えぬ音声(言葉)を目に見える姿、形(文字)に変えて表わすということである。

ちなみにウエツ(10の綴)は、フミ(文)とは再見(フタミ)(再び見えるものという意)の約音、フデ(筆)は文手(フミテ)(文を書く道具の意約語)である。